小児科を「気軽な相談所」に    

こども救急箱(1)

小児科は本来「こどもの内科」です。日本では伝統的に「こども科」として考えられており、

「耳や目が痛い」「やけどをした」「たんこぶを作った」など、いろんな問題に直面したこどもたちが小児科を訪れます。

小児科医はこどもをどの科の医師に診てもらうのが適切かも判断しており、いわゆる「総合診療科」の役割を果たしています。

小児科は一般的に、「こどもが病気のときに連れて行く場所」と認識されていますが、本当は小児保健業務も行っています。

こどもの成長や発達などで、「こんな時はどうしたらいいの?」と気軽に相談に行くべきところです。インフルエンザの季節であ

ればクリニックはどこもいっぱいですが、それ以外の季節には、ゆっくり相談に乗ってもらえるはずです。

 しかし、鹿児島県をはじめとして多くの都道府には、近くに小児科クリニックがない地域もたくさんあります。そこでは内科や

外科の医師が「総合医」として活躍されており、小児科専門医の資格こそ持っていないものの、こどもの健康を一生懸命考えてくれています。

 私たちNPO法人「こども医療ネットワーク」は、会員の小児科専門医が少ない地域の医師と協力して、鹿児島県全体のこども

たちの健康づくりに貢献するため昨年設立しました。いろいろな地域でこどもたちの保護者や保育士さん、幼稚園の先生を対象に

「こども健康相談会」を開く予定です。開催予定は、この欄で通知したいと思います。

 今月から隔週で、私たちNPO法人の会員である医師がこの「こども救急箱」を担当させていただきます。「比較的軽い病気や

けがの処置はどうするの」「こんなのは病気なのかな」といった疑問を解決し、誰に相談すべきかについてのアドバイスや、日常の

問題について考えていきたいと思います。保存して「育児支援の教科書」にしていただければ幸いです。

 

 NPO法人こども医療ネットワーク理事長 河野嘉文 (鹿児島大学病院)

2006417日 南日本新聞掲載