こどもの手足の痛み
こども救急箱(10)
子どもたちはよく手足の痛みを訴えます。たとえば、夜中に突然目を覚まして足が痛いと
泣き出すことがあります。痛い場所をさすっているうちに子どもは眠ってしまい、翌朝は元気に
起きてきます。その後も同じ症状を繰り返して親御さんを心配させますが、検査では異常はみら
れません。これは4〜12歳の子どもさんの10〜20%にみられる心配のない痛み(成長痛)で、
1〜2年で消失します。
同じように膝や足の関節痛を訴える病気に、アレルギー性紫斑病があります。5〜7歳の子ども
さんに多く、しばしば腹痛を伴います。この場合は、すねや足に点状の赤い小さな出血斑がないか
捜してみて下さい。指で押しても赤みが消えないのが出血斑の証拠です。2週間以降に約40%が
腎炎を起こしてきますので、油断はできません。
もし痛みが同じ関節で長く続き、その痛みが朝に強い場合はリウマチも考えられます。子どもに
リウマチが?と驚かれるでしょうが、子ども6千人に一人は発症します。
幸い鹿児島には小児リウマチ専門医がいますので、相談されると良いと思います。
思春期の子どもさんが手足の痛みを訴え、全身の倦怠感、腹痛や頭痛、睡眠障害(寝付けない、
目が覚める)などの症状を伴う場合は、線維筋痛症を考える必要があります。思い当たる方は、
掲載した図の圧痛点と呼ばれるツボを、爪の色が半分かわる程度の力で押してみてください。11
か所以上で強く痛がれば、その可能性が高いと判断できます。
手足が痛い場合は、整形外科を受診されることが多いかもしれません。しかし紹介した病気以外
にも小児科の病気が沢山含まれています。
まずは、かかりつけの小児科の先生に相談されることをお勧めします。
NPO法人こども医療ネットワーク理事 武井 修治(鹿児島大学医学部保健学科)
線維筋痛症の18か所の圧痛点
(平成18年9月4日 南日本新聞掲載)