けがの手当て

−止血と汚物除去が重要−

 

こども救急箱(104)

けがの手当では、止血と汚物を取り除くことが大切です。まず止血のために出血部位を軽く

おさえます。ガーゼなどを直接傷に当て指でおさえたり、ガーゼの上から軽く包帯を巻きます。

ほとんどの出血はこれだけで止血できます。指や腕を強く縛ると、傷以外にも血液が流れなくな

ります。中途半端な縛り方ではうっ血し、出血が増えることもあります。

 傷の中に小石、泥、木片、ガラス片などの異物が残ると、細菌が増殖し傷が膿む原因になりま

す。傷の治りも遅く、治っても傷が目立つようになるため、流水(水道水)で傷の周りの泥や液体、

傷の中の異物をしっかり洗い流します。その後、清潔なガーゼなどで傷を覆います。除去できない

異物や痛んだ組織は、外科的に取り除く必要があります。

 刺し傷は、化膿しやすいため注意が必要です。特にさびたくぎや泥、汚水が付いた木片などに

よる傷は、傷口は小さくても奥の方に異物が残ることがあります。破傷風にかかる危険性も高いの

で病院を受診してください。

 消毒薬は殺菌効果が期待できますが、正常組織にも影響するので傷周りの皮膚に塗る程度に

しましょう。茶色のポビドンヨード(イソジン皮膚消毒液)や、無色透明のクロルヘキシジン(ヒビテ

ン皮膚消毒液)は医療機関でも使いますが、うがい用や器具消毒用のものは、高濃度なので使わ

ないでください。

 過酸化水素(オキシドール)は泡が出て、ごみや異物を押し出します。消毒作用はほとんどなく、

焼けるような強い痛みがあります。マーキュロクロム(赤チン)は、消毒効果はあまり強くありません。

パウダーのような薬剤は傷にへばりつくことがあります。殺菌力も強くありません。

テキスト ボックス: 認定NPO法人こども医療ネットワーク会員 
松藤凡(鹿児島大学病院小児外科)                平成23年1月10日 南日本新聞掲載