入 浴
こども救急箱(112)
子どもは家族とお風呂に入るのが大好きです。お風呂の中では次から次に、おしゃべりが
止まりません。大人のひざの上に乗るのも好きです。きょうだいも、みんな一緒に入ると大騒ぎ。
大人はゆっくりと湯船につかりたいのに、なかなかそうはいきませんね。
子どもたちにとってお風呂は、遊びとコミュニケーションの場で、楽しい時間なのです。短時間
で子どもたちとすばらしいコミュニケーションがとれます。
以前、虐待死した5歳の子どもが、幼稚園の先生に「お母さんとお風呂に入るのが夢だ」と話
していたという記事が、新聞に載っていました。そんな当たり前のことが夢なんて、と当時は思
いましたが、子どもたちにとっては、日常の簡単なことであっても楽しく感じることができ、満足で
きるのです。
昔から隠し事をせず、本音を語る関係のことを「裸の付き合い」と言いますが、子どもたちとの
裸の付き合いは、子どもの成長と発達にとってすごく重要なのです。
お風呂でなくて、シャワーでもいいのです。シャワーの時はマンツーマンです。ほかの人がいる
時には話せないこと、または聞けないことが言えますよね。
またきょうだいがいる場合は、そのシャワーの時間はお父さん、お母さんを独り占めできます。
たあいのない話をしながら体を流してあげれば、子どもたちにとって最高の楽しい時間です。
湯船でわいわい遊ぶのもよし、これから暑くなる夏はマンツーマンでシャワーをするもよし、
子どもと裸の付き合いをしてみましょう。特に、忙しいお父さん、子どもたちと一緒に、お風呂に
入りましょう。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
楠生 亮 (鹿児島市立病院小児科)
平成23年5月23日 南日本新聞掲載