子どもの食中毒

−手洗い徹底、肉の生食避ける−

 

こども救急箱(114)

食中毒が原因で起こる細菌性腸炎のうち、子どもが特に注意すべきなのが、腸管出血性

大腸菌O157、サルモネラ、カンピロバクターです。

まず、O157は下痢を起こす病原性大腸菌の一種で、O157以外にもO26や、ユッケ事件

で有名になったO111などが知られています。症状としては原因となる食物を食べて数日後、

激しい腹痛と水様便があり、鮮血便もみられます。

この菌は牛などの動物の腸管にいて、牛肉や牛レバーなどの生食や加熱不十分な肉類が

感染源となります。腸管出血性大腸菌はベロ毒素という毒素を出し、溶血性尿毒症症候群

(HUS)という生命に関わる重い合併症を引き起こす場合があります。子どもにはしっかり火を

通したお肉を食べさせましょう。

サルモネラ腸炎は原因となる食物を食べてから6〜72時間(平均24時間)経過したころ、

発熱、吐き気・嘔吐(おうと)、腹痛、下痢症状が現れます。乳幼児では髄膜炎や骨髄炎など

腸管以外の合併症が起こることもあります。サルモネラ菌は家畜や鳥類が保有し、鶏卵や鶏肉、

その加工品が原因になります。鶏卵は古くなると細菌が増えるので、新鮮なうちに使いましょう。

カンピロバクター腸炎は初夏から秋に多く起きる食中毒で、原因となる食物を食べて2〜5日

で腹痛、発熱、下痢が出現、血便が多く見られます。感染経路のほとんどが鶏肉関連の食品です。

特に鹿児島や宮崎では鳥刺しを食べる習慣があり、毎年多くの子どもが罹患(りかん)しています

ので、注意が必要です。

食中毒は簡単な注意で予防できます。調理前の十分な手洗い、調理器具を清潔に保つ、卵・

食肉の生食を避ける、保存方法など周りの大人が気をつけることが大切です。

 

 

認定NPO法人こども医療ネットワーク会員

平林雅子(鹿児島こども病院)

平成23年6月27日 南日本新聞掲載