口呼吸

 

こども救急箱(119)

保護者から「子どもの口がいつもあいている」という相談を受けることがあります。

原因は鼻がつまっているために口で呼吸をしたり、以前の鼻づまりのために口で呼吸を

するくせがついてしまったり、呼吸とは関係なく口元が緩んで口があいてしまっている場

合があります。

鼻は空気中の汚れを取り除くフィルターの役目があるので、鼻呼吸は空気中のウイルス

や有害物質が体に入ることを、ある程度防ぐことができます。しかし、口呼吸ではこれらを

直接吸い込んでしまい、体によくはありません。

それだけではありません。口がいつもあいていると歯や歯茎が乾燥し、唾液の持っている

歯を保護する働きや、細菌の活動を抑える働きが十分に発揮できず、虫歯や歯肉炎になり

やすくなります。また、歯に色が付きやすくなったり、口が乾燥して口臭の原因になることもあ

ります。

さらに口があいている状態が長く続くと、前歯が出てきたり、面長で幅のせまい顔つきにな

ったりと、歯並びや顔の形にも影響してくることがあります。

口呼吸をしている子どもの中には「いびき」がひどかったり、息が止まったりする睡眠時無

呼吸症候群の子もいるようです。子どもは大人の場合と違い、やせていても起こることが多く、

寝起きが悪い、朝から頭痛がある、落ち着きがないなどの理由で学業にも影響すると言われ

ています。また、夜尿の原因になる場合もあるようです。このように口呼吸にはいろいろな問

題があります。口を閉じて鼻だけでの息ができないようであれば耳鼻咽喉科を、それ以外の

場合は小児科や小児歯科で専門的な診察を受けるのがよいでしょう。

 

認定NPO法人こども医療ネットワーク会員 

岩崎智憲(鹿児島大学小児歯科)

平成23年9月26日 南日本新聞掲載