「定期接種と任意接種」
こども救急箱(120)
予防接種って、何ヶ月から何種類受けるか、ご存知ですか?最近の日本は生後2ヶ月から
肺炎球菌もしくはヒブワクチンですね。従来はBCG と3種混合ワクチンを3か月から開始して
いました。欧米はどうでしょうか。びっくりされるかもしれませんが、生まれてすぐにB型肝炎、
生後2ヶ月に7種類!同時接種が世界の常識となっています。
日本では法律に基づいて各市町村が実施する定期接種と、法律に定めのない希望により
受ける任意接種に分けられています。定期接種には、三種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)、
BCG、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎があり費用は公費負担です。一方任意接種には、ヒブ、
肺炎球菌、子宮頚癌ワクチン、インフルエンザ、水痘、おたふくかぜ、B型肝炎などがあり基本
的に自己負担です。
定期接種は「接種しなくてはならないもの」、そして任意接種は「接種しなくてもいいもの」と思
われている方がいらっしゃいますが、これは誤解です。定期と任意というのは日本の法制度上の
違いによるもので、医学的には予防する病気の重さに違いがあるわけではありません。欧米で
は推奨されていても、日本ではまだ任意あるいは未承認のワクチンは多くあります。任意接種
の中には、細菌性髄膜炎のように重症な病気も含まれており、水痘やおたふくかぜも後遺症
を残すことがあります。よって、ワクチンは全て必要なものと考えてほしいと思います。定期接
種と異なり、任意接種は自治体からのお知らせがありませんので接種忘れのないようにしましょう。
また2011年7月 ロタウイルス胃腸炎のワクチンが日本で承認されました。今まで対症療法
しかなかった病気を予防できる経口生ワクチンで、11月頃接種開始予定です。接種は生後
6週から可能ですので、かかりつけの先生にご相談ください。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
二宮由美子
平成23年10月10日 南日本新聞掲載