小児救急医療

−時間外診療で医師疲弊−

 

あんしん救急箱(125)

ここ数年、小児救急医療は社会問題として取り上げられてきました。医師不足の象徴の
ように言われたときもありましたが、全国では約1万5千人が小児科医として働いている
とされ、今も毎年500人以上、小児科医は増え続けています。

 子どもの数は増えていないのに、小児救急の現場で小児科医不足と言われるのはなぜで
しょう?

 最も大きな理由は、小児救急の実態が子どもの突然の発熱や状態の急変による「時間外
診療」であることです。休日夜間という時間外に働く小児科医が不足しています。若くて
独身の医師なら時間外も活躍できますが、年齢が進むにつれ、あるいは家族との時間を大
切にしようと考えるようになると時間外労働は減らさざるを得ません。

 医師は一部例外を除き、看護師さんのような交代制勤務ではありません。朝から働き始
め、夕方から夜も続けて当直し、翌日もそのまま通常の勤務をします。極端に言えば、当
直の日は翌日夕方までの
36時間連続勤務になります。普通の職場なら社長が罪に問われ
るでしょうが、医師は労働基準法で例外的に認められた労働ですので、院長が罪に問われ
ることはありません。

 このような労働を継続してできる社会的条件(年齢、性別、家庭環境、健康状態)は限
られてきますので、休日夜間に働ける小児科医不足が起きます。時間外の救急外来が疲れ
た医師の外来であることは事実です。

 最近の医学雑誌の報告で、日本の小児は米国の小児の2・5倍多く診療所を受診し、
病院の外来受診にいたっては
11倍多いことがわかりました。気軽に診療所や病院を受診で
きる体制は世界に誇れますが、保護者は薬を求めて受診する傾向があります。他国に比べ、
日本の子どもはたくさんの薬を飲まされているのでは、と気になります。



認定NPO法人子ども医療ネットワーク理事長

河野嘉文(鹿児島大学病院小児科)