インフルエンザ後の登校基準
あんしん救急箱(126)
インフルエンザの流行で、小児科にも多くの患者さんがやって来ます。インフルエンザが治った
後、いつから登校、通園できるのか、基準の表現が非常に分かりにくいようです。「解熱して2日」
「症状が出た日から5日たって熱がなければ」などさまざまなことがいわれます。最近は抗インフ
ルエンザ薬で早めに熱が下がるため、発症して3、4日で「解熱2日」になるため判断が難しくなり
ます。どのような基準が適当なのでしょうか。
日本小児科学会予防接種・感染対策委員会の登校(園)基準によると、「解熱した後2日を経過
するまで」とあります。厚生労働省の保育所における感染症対策ガイドラインは、「症状が始まっ
た日から7日まで、または解熱した後3日を経過するまで」を出席停止の目安としています。ただし、
「発症5日を経過するまでは欠席が望ましく、せきや鼻汁が続き、感染力が強いと考えられる場合
は、さらに長期に及ぶ場合もある」としています。
出席停止期間が解熱後2日となっているのは、インフルエンザにかかって3日前後で微熱か平
熱になっても、再び38度以上の熱が出ることがあり、登校すると感染源になる恐れがあるからで
す。薬で熱は下がりますが、その後も少量であってもウイルスが排出されることが知られていま
す。
医学的には、抗インフルエンザ薬を使って解熱を確認した日を1日目とすると3日目以降、また
は発症日を1日目として6日目以降であることを確認して登校すれば、周りに感染させずにすむと
考えられます。その点を踏まえ、文部科学省は4月から、「発症後5日を経過し、かつ解熱した後2
日間」を出席停止とする方針を決めました。ただし、登校を再開してもマスクを着用するなど「せき
エチケット」を守ることが大切です。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
今中啓之(池田病院小児科)