こころ育て

−赤ちゃんとのやりとり楽しんで−

 

こども救急箱(127)

赤ちゃんの心身の健やかな成長はご両親の願いです。では、どんな心がけが子育てに求めら
るのでしょう。

赤ちゃんの育ちを思い浮かべてください。首がすわればお座りし、はいはいをした後に歩きます。
身体の育ちが順々に進むように、実はこころも段階に沿って発達します。このこころの土台づくり
が「基本的信頼を築くこと」といわれます。赤ちゃんは、人の顔や声などに最もよく反応するように、
生まれた時から人へ働きかける力を備えています。そして、身近な人たち、主にお母さんは、赤ち
ゃんのサインを読み取って応えています。

おなかがすくと満たしてくれる。機嫌が悪いと抱っこしてくれる。不安な時は、安心させてくれる。
赤ちゃんはこのようなお母さんとのやりとりを重ねてお母さんを好きになり、お母さんを通して、こ
の世界を好きになります。これを「基本的信頼を築く」といいます。つまり、「こころ育て」は生まれた
時から始まっているのです。

「基本的信頼」の次には「自律性」や「自発性」などの段階に入ります。ここで大切なポイントは、
赤ちゃんの欲求に「ほどよく」応えることです。先回りせず、欲求通りに応えることです。抱っこやほ
ほ笑みかけなどの情緒的交流も大切ですね。でも、決して堅苦しく考えないでください。自分なり
の子育てをつくりましょう。
 子育ては一人で行うものでもありません。お母さんがゆったりとした気持ちでいるためには、お
父さんを含めた周囲の理解や協力も必要です。地域の子育て支援や発達相談会を利用するなど、
心配やつらさを一人で抱え込まないでください。

 赤ちゃんが喜ぶ。それを見てお母さんもお父さんもうれしくなる。そのようなやりとりの積み重ね
が、こころの土台をつくっていくのです。

 

 

認定NPO法人こども医療ネットワーク会員

赤池 治美(やまびこ医療福祉センター)