虫歯予防のホームケア
−フッ素を効果的に使って−
こども救急箱(128)
フッ素は虫歯になりにくい丈夫な歯を作るのに有効ですが、歯科医院にお子さんを連れ
てこられる保護者からはフッ素の効果や、使用方法などが分からないという相談をよく受
けます。 フッ素には主に、2つの働きがあります。
1つ目は、「再石灰化」を助ける働きです。歯の表面はエナメル質という固い組織で覆わ
れています。このエナメル質は常に歯が溶ける「脱灰」と、溶けた歯が再生する「再石灰
化」を繰り返します。両者のバランスが崩れて「脱灰」が進むと虫歯になります。フッ素はエ
ナメル質に取り込まれ、歯を強くしたり、「再石灰化」を助けたりします。
2つ目は、口内の環境に対する作用です。虫歯の原因菌は口の中の糖分を食べて、そ
の代わりに歯を溶かしてしまう「酸」を作ります。フッ素は「酸」ができるのを阻害する働き
があります。
次に、自宅で使えるフッ素について説明します。種類は3つです。
@ 磨き粉に配合されているもの―歯科医院で歯に塗るフッ素に比べて非常に薄いもの
ですが、毎日使用でき、予防に有効です。歯磨き粉の成分表示に「フッ化ナトリウム」
と書いてあればフッ素が配合されています。
A フッ素のジェルやフォーム―通常の歯磨きで汚れをしっかり落とした後に使いま
す。適量を歯ブラシに付け歯全体にのばします。うがいはせず唾液を軽く吐き出し、
30分以上飲食を控えます。
B フッ素洗口剤―フッ素が含まれる液体をお口の中に含み、ブクブクうがいをして吐き
出します。歯科医院で処方してもらうか、市販のものを医院に持って行き、使用方法
を説明してもらうのがいいでしょう。
ホームケアと歯科医院での定期的な検診が虫歯予防には大切です。ホームケアは毎日、
歯科医院での定期検診は3カ月に1回を心がけ、お口の健康を保ちましょう。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
稲田 絵美
(鹿児島大学病院小児歯科)