泣き入りひきつけ
あんしん救急箱(129)
子どもはよく泣くものですが、中には激しく泣いたときに顔色が真っ青になったり、
青白くなったりして意識を失い、ときにけいれんを起こすことがあります。
これは泣き入りひきつけとか、憤怒けいれんといわれるものです。生後6カ月から2
歳までに多くみられます。必ず激しく泣いた後に起こり、決して眠っているときには起
きません。乳幼児期は怒りや恐怖感といった感情を適度に処理する脳の反応が未熟
であるために起きると考えられています。脳波や磁気共鳴画像装置(MRI)など脳の
精密検査では異常がないことがほとんどで、将来的に後遺症を残したり、てんかんに
なりやすいこともなく、5歳までには自然に消失する良性の疾患です。
子どもが泣き入りひきつけを起こしたときにはあわてるとは思いますが、人工呼吸
や心臓マッサージといった処置は必要ありません。特に何もしなくても2、3分で収まり
ます。あわてないことが大切です。
大人の子どもへの接し方も大切です。しつけとして子どもをしかることもあるでしょう
が、子どもが泣いたときは大声でしかったりせず、穏やかな口調で冷静に接してくださ
い。
なお、泣き入りひきつけを起こすお子さんは頑固であったり、言うことをきかないとい
ったいわゆる「キレやすい」性格の傾向があるといわれています。原因として鉄不足
が存在することがあり、鉄不足を改善すればそのような性格面が改善し、泣き入りひ
きつけの頻度が減少するともいわれています。かかりつけのお医者さんに相談してみ
てください。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
摺木伸隆(鹿屋医療センター小児科)