脳症など重篤な例はまれ
予防接種の副反応
こども救急箱(133)
予防接種の際に副反応が気になる方は多いと思います。
最も多い副反応の一つに発熱があります。ワクチン接種後の健康調査によると、接種後28日間に発
熱する割合は10~20%程度です。全てがワクチンの副反応ではなく、かぜなどの発熱と見分けのつかな
い例が多く含まれています。副反応であれば治療の必要はなく数日で解熱します。
次にワクチン接種部位の皮膚の発赤や腫れ、硬血もよくみられますが、発熱と同様に多くは数日で
改善します。しかし化膿したり痛みが強い場合には接種した医療機関にご相談下さい。
重篤な副反応にアナフィラキシーショックがあります。これはワクチン接種後30分以内に起こり、呼吸
困難を起こしたり血圧が低くなって意識を失ったりします。発生頻度は少なく、不活化ワクチンでは数十
万接種当たり1人の割合で、生ワクチンではさらに少なくなります。もし起こっても、病院ですぐに対応
すれば大事に至りません。
インフルエンザや麻疹、おたふくワクチンで卵アレルギーを心配される方がいらっしゃいます。ワクチ
ン製造の進歩でワクチンに含まれる卵白の成分は微量となったため、卵によるアナフィラキシーショッ
クを起こした人以外は、安全に摂取できます。
脳炎・脳症などの重い副反応の発生頻度は100万接種当たり0.1〜0.2人程度と極めてまれです。ま
た、自閉症とワクチンの関連も否定されています。
予防接種の副反応は自然と改善するものが多く、重いものはめったに起こりません。病気に伴う重い
合併症の発生を考えるとワクチンを摂取することの方が大切です。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
柳元 孝介(鹿児島大学病院 小児科)