病気のときの声掛け
−言葉と表情で安心与えて−
こども救急箱(134)
病気の人に声を掛けるときに「大丈夫?」と声を掛けることが多くあります。大人の場合であ
れば自分の具合の悪いことに気づいてくれていると感じ、何かあったら頼れるだろうと安心で
きます。では、子どもの具合が悪いときはどうでしょう。
小さい子は声掛けよりも安心できる人のそばにいることで心が安らぎます。年長児~小学生
くらいになると、自分は大丈夫なのだろうかと怖くなることもあります。そんなとき、「大丈夫!」
と安心させるような声掛けが大事です。そばにいる人が不安そうであれば、その不安が伝わ
り、もっと具合が悪く感じるかもしれません。
小児科の外来では、家族から「家ではすごく不機嫌でした」と言われることが多いですが、診
察のときは意外と機嫌がなおっていることもよくあります。きっと家で家族は病気の子どもを見
て、心配でたまらないという顔をされていたのでしょう。病院に着いてお父さんやお母さんが少
しホッとしたら、それが表情や態度にあらわれて、その気持ちが子どもたちに伝わったのかも
しれません。
小学校高学年以上になると、大人への声掛けと、子どもへの声掛けのどちらがいいか、小
児科医で悩むことが多く、対応が難しいと感じます。しかし、日ごろから子どもを見ているご両
親なら、うまく対応できると思います。病気の子どもを家でみるときは、症状の変化に注意す
ることはもちろん、不安をとってあげる声掛けや対応が非常に重要になる例ですね。
夜中の高熱やけいれんなど、ご両親が慌てても必ずしも良い結果につながりません。必要
なとき、急いで病院へ行きながらも「大丈夫、大丈夫」と子どもと自分自身に言い聞かせること
が、適切な初期治療だと思います。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
楠生 亮(国立病院機構南九州病院小児科)