母乳育児@
−欲しくて泣くのか観察を−
こども救急箱(135)
1カ月検診ではさまざまな体重の赤ちゃんと出会います。小児科医がびっくりするくら
い太った赤ちゃんのお母さんに授乳のペースを質問すると、「欲しがって泣くので1、2時
間おきに飲ませています」。本当に欲しがっているのか聞くと、泣いて欲しがるので、との
答え。驚くほど太った赤ちゃんは、早くおなかがすくのでしょうか。
母乳育児の場合は、哺乳量を計りませんが、標準以上に大きくなるということは、お母
さんの母乳がかなり出ているのでしょう。体重増加は標準でなくてもいいのですが、もし
かしたら飲みすぎかもしれません。
1カ月の赤ちゃんはおなかいっぱいでも無意識に口をもぐもぐさせて飲んでしまう反射
があります。おなかいっぱいであおむけに寝て苦しかったり、ゲップが出ずおなかが張っ
て泣いているのに、「おなかすいたのね」と勘違いされて飲まされていたのかもしれません。
そんなときは私が赤ちゃんの代わりにお母さんに伝えてあげるようにしています。
ある乳児健診のとき。すごく体重の増えていた赤ちゃんに聴診器をあてると、心臓に
負担がかかっている音が聞こえました。本人はかなり苦しかったことが推測されました。
抱っこや声かけでなだめながら授乳間隔をそれまでより少しだけあけてもらったら、2日程
でよくなりました。
体重がどんどん増えるとうれしく感じますし、欲しがればあげるのは正しいのですが、
いきなりおっぱいではなく、本当に欲しくて泣いているのか、抱いて声かけしながら、
赤ちゃんの表情を観察することも大事です。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
楠生 亮(国立病院機構南九州病院小児科)