熱中症
−水分・塩分補給し予防−
こども救急箱(138)
連日の節電要請が続いた暑い夏は過ぎましたが、まだまだ日中は気温が高く、熱中症で病
院へ運ばれたというニュースをいまだ耳にします。
そもそも熱中症とは、高温環境における身体の適応障害によっておこる状態の総称」と定義
されています。高温環境への適応というのは、例えば汗をかいて熱を放散して厚さに順応す
るといった、人間の体に備わっている大切な仕組みのことです。
しかし、そのような適応の範囲を超える暑さの中に身を置いたとき、熱放散が間に合わなく
なってさまざまな症状がでてきます。特に子どもの場合は体温調整機能が未熟なため、高温
環境への適応が成人に比べて劣っているので、注意が必要です。
熱中症の初期には高体温のほかに、足の筋肉の攣縮、いわゆる「こむら返り」といわれる症
状が見られます。適切な対応をとらないと徐々に症状が進行し、頭痛や嘔吐、さらには意識
障害やけいれん、臓器障害など生命の危険にされされることもあります。
では適切な対応とは何か。まず運動中であれば中止して涼しい場所で安静にすることが第
一です。スポーツドリンクなど、塩分と糖分の含まれた飲料水を補給することも必要です。ま
た首や脇の下などを冷却するのも有効です。そのような対処でも症状が進行するときはすみ
やかに医療機関を受診してください。
重要なのは「熱中症は予防できるものである」という認識を持っておくことです。運動会シー
ズンで、子どもたちが高温環境で過ごす機会はまだまだ続きます。運動の前後だけでなく、運
動中も水分・塩分の補給をしっかりとして、適度の休息をとって熱中症の予防に努めましょう。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
櫨木 大祐(田上病院小児科)