先天代謝異常を早期発見
タンデムマススクリーニング
こども救急箱(141回)
鹿児島県内で生まれたすべての赤ちゃんに公費でしている「新生児マススクリーニング」に、
10月から新しい検査方法である「タンデムマス法」が導入されました。
新生児マススクリーニングとは、治療ができる病気を発病する前に見つけて早期に治
療を始め、赤ちゃんの障がいを予防するシステムです日本では1977年から始まり、先天代謝
異常症や内分泌疾患など、六つの病気を対象に実施されてきました。
今回のタンデムマス法を導入することで、新たに多くの先天代謝異常症が追加されました。
赤ちゃんへの負担を増やすことなく、合計19種類の病気を調べることができるようになりまし
た。
人間は、食べ物からの栄養をさまざまな物質に分解したり合成したりして、体をつくったり、
エネルギーに変えたりします。このような体の中で起こる変化を「代謝」と呼びます。先天代謝
異常症というのは、代謝の一部が生まれつき正常に働かず、さまざまな症状を起こす病気の
ことです。異常を放置すると、発達の遅れや心身の障がいにつながることもあり、早期発見、
治療が求められています。
タンデムマススクリーニングで異常が発見されても、その多くは症状がありません。異常が
見つかった場合は連絡がありますので、すみやかに病院を受診することが必要です。
ただし、異常があっても必ずしも病気であるとは限りません。適切な検査、診断治療を受ける
ことが重要になります。
病気によっては、最も症状が重い場合、検査を受ける前に発症したり、治療が難しいことも
あります。その際も、早期の診断が障がいの程度を軽くする効果はあります。ぜひこの検査を
知っておいて下さい。
認定NPO法人こども医療ネットワーク
丸山 慎介