乳児期の茶碗蒸し

               −離乳中期までは控えて−

 

こども救急箱(143)

救急外来で、食物アレルギーが原因のじんましんや、ショックに近い状態の乳児を
診察することがあります。乳幼児の食物アレルギーの原因として卵白、ミルク、小麦
、大豆などがありますが、離乳中期と呼ばれる時期の離乳食を食べている乳児では、
原因のほとんどが卵のように思います。
 私が経験したほとんどの乳児が茶わん蒸しを食べており、親族や本人のお祝いの
席などで口にしていました。茶わん蒸しは、携帯的にどろどろでつぶさなくてもよく、離
乳期についあげてしまいたくなる食べ物です。
 しかし、茶わん蒸しの卵は、固ゆでではなく半熟の卵白が含まれています。外食の
茶碗蒸しほど、口当たりをよくするために、硬くなるまで蒸してはいません。奄美大島
に赴任中、このことに気づき、島全体の保健師さんたちとの勉強会で、「離乳期の乳
期、特に離乳中期には茶わん蒸しはあげないように指導してください」とお願いしまし
た。
 奄美では、小児科の救急患者さんのほとんどが県立大島病院を受診します。保健
師さんたちにお願いする前は、卵が原因でじんましんなどの症状が出て救急外来を
受診する乳児がときどきいましたが、お願い後の1年半は、全く受診がありませんで
した。このことから茶わん蒸しは注意しないといけないことが、証明されたと考えてい
ます。

 もちろん、茶わん蒸しを食べたら、すべての乳児にじんましんが出るわけではありま
せん。しかし一度アレルギー症状が出ると、卵白を一定期間食事制限しないといけな
くなるので、少なくとも離乳中期までは控えた方がよさそうです。過度に恐れる必要は
ありませんが、食物アレルギーの発症は食べさせるじきが重要な要素であることを知
っておいてほしいです。

 

 

国立病院機構南九州病院 小児科
楠生 亮