風邪のエチケット

−解熱後もしばらく安静に−

 

こども救急箱(145)

風邪をひく子が多い季節になりました。病院には「熱が高いのですが、明日は遠足
なので早く治してください」とお子さんを連れてこられる場合があります。子どもさんに
はかわいそうなのですが無理は禁物です。解熱剤で取りあえず熱は下がっても、そ
れは一時的なもので病気が治ったわけではありません。

体調が十分でない時に安静にできないと、さらなる病気を引き起こしてしまうことも
あります。風邪で済まなくなっては大変です。熱が下がっても体調が良くなるまでしば
らく安静にすることが本人にとっては必要なことで、長期的にも良い結果となるはずで
す。病気を引き起こすウイルスに感染しても、すぐには熱やせきなどの症状は現れず、
体内でウイルスが増殖して初めて症状がみられます。増殖したウイルスは症状の出
る少し前から身体の外へ出るようになるので、その時点から他人にうつります。熱が
下がっても1、2日は感染力がある場合が多く、幼稚園や学校で風邪がはやるのは、
熱がある時期だけでなくその前後にも感染力があることや、教室などの密閉した空間
に多くの子どもがいることが関連します。

症状が残っているうちに無理して登校し、風邪をひく同級生を増やしてしまうことに
なることも知っておかなくてはなりません。熱が下がって少なくとも1日は自宅で安静
にすることがクラスの友人へのエチケットです。せきがある場合はマスクをして、たん
やウイルスをまき散らさない配慮をしましょう。

一方、インフルエンザの場合は、異なった対応になります。薬で1、2日以内に熱が
下がることもありますが、発症から5日間は感染力がありますので、その期間は休む
必要がある点に注意しましょう。

 

認定NPO法人こども医療ネットワーク

野村 裕一