首のグリグリ
こども救急箱(15)
子どもさんの首のまわりに、グリグリがあるのに気づいたと受診される方があります。
お風呂などで気づかれる方が多いようです。
このグリグリはリンパ節で、体内に入ろうとするウイルスや細菌などの進入を防ぐ出城
の役割をしているので全身に分布しています。体の表面に近いリンパ節は、皮膚を通して
触れることができます。小さなリンパ節は健常児でも触れ、首のまわりや股のつけねのリンパ節
は直径1cmくらいまでは正常とみなされています。したがって、1cm以下のリンパ節を偶然触れた
場合は、その時の大きさを覚えておいてください。2〜3週間たっても大きさが変わらなければ、
心配なものではありません。
リンパ節が短期間でどんどん大きくなったり、いろいろな場所のリンパ節が腫れたりした場合は
病院を受診してください。この場合は血液その他の検査を行い、必要だと判断したら手術で
リンパ節をとって(生検と言います)調べます。
子どもで直径1cm以上のリンパ節が腫れる場合、近くに切り傷、湿疹、あせも、おできなどが
ある場合が少なくありません。この場合は、皮膚疾患が治れば、リンパ節も徐々に小さくなって
いきます。猫ひっかき病でもリンパ節は大きくはれてきます。
その他化膿性リンパ節炎、風しんなどで目立ちます。また川崎病の時もリンパ節が腫れますが、
そのような場合には発熱をはじめリンパ節以外の症状があります。またBCG接種1〜2ヵ月後に
わきの下のリンパ節腫大がみられることがありますが、2cmくらい腫大は正常反応と考えられます。
頻度は少ないですが、白血病、悪性リンパ腫、神経芽細胞腫などの腫瘍性疾患で腫れる場合も
あります。この場合は痛みを伴わない硬い大きなリンパ節が特徴です。
ほとんどの場合緊急性はないので冷静に対応することが重要です。
NPO法人こども医療ネットワーク会員
伊地知修(いぢちこどもクリニック院長)
2006年11月27日 南日本新聞掲載