子どものおねしょ
子ども救急箱(154)
おねしょは、夜間睡眠中の尿漏れ、「単純夜尿症」だけであれば、ほとんどが病気ではなく、
成長に伴って自然に治ります。小学生の夜尿症は年間で10〜15%が何もしなくても治ると
いわれています。夜尿症の頻度は3歳45%、5歳15%、12歳4.8%、15歳3%、20歳1.
3%となっています。
以前は何もせずに様子を見るという意見が多かったのですが、近年では、本人の心理的負
担や、まれに成人になるまで続くことを考慮し、さまざまな治療が行われています。一般的に
は小学校入学以降も続く場合に治療し、より早い自然治癒を期待します。
夜尿症は、大きく三つに分類されます。一つめは夜間の尿量が多いため漏れる、二つめは
尿がたまるぼうこうの容量が小さいために漏れる、三つめはこれらの混合です。
主な治療法は、夕食後の水分摂取を控える生活指導、下着やベッドに装着して夜尿の水分
を感知すると警報が鳴る夜尿アラームという装置を利用する行動療法、環系抗うつ剤、抗コリ
ン剤、抗利尿ホルモン剤などを使う薬物療法ですが、漏れ方のパターンや、本人、家族の希
望に応じて適切な治療法を選択します。
夜尿症の中には、他の病気である基礎疾患が原因で、普通の治療ではなかなか治らない
ものもあります。その場合は基礎疾患の治療が必要です。たとえば、睡眠時無呼吸症候群の
お子さんの多くに夜尿症を認めることが知られており、睡眠時無呼吸の治療で夜尿症も改善
するという報告もあります。
夜尿症を治療するうえで最も大事なのは、本人のやる気と家族の協力です。親御さんに
は、うまくいかないときに怒るのではなく、うまくいったときに十分にほめていただくことが大切
だと考えています。
詳しくは小児泌尿器科か専門の小児科へご相談ください。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
井手迫 俊彦(鹿児島大学病院腎臓・泌尿器センター泌尿器科)