こどもの糖尿病
子ども救急箱(156)
学校の検尿で尿糖が陽性だと指摘され、病院を受診するお子さんがいます。尿に糖が出る
場合は、血糖が高いときと、腎臓で糖を吸収する能力が下がる腎性糖尿が考えられます。
いずれも血糖などの血液検査をして確認する必要があります。
血糖が高くて尿糖が陽性になるのは、1デシgあたりの血糖が160〜180_cになった場
合です。通常、空腹時の血糖は110_c未満、一定のブドウ糖水溶液を飲んだ後に測定す
る糖負荷試験での値は140_c未満が正常です。
空腹時血糖が126_c、食事の時間に関係なく測定した随時血糖や、糖負荷試験での値
が200_cを超えると糖尿病が疑われます。
子どもに多いのは、1型糖尿病で、糖を体に取り込むのに必要なすい臓から出るホルモン
(インスリン)が出なくなるタイプです。糖分を体のエネルギーとして使えないため、脂肪が使
用され、やせて尿にケトンという物質が出てきます。
また、尿がたくさん出るため、喉が渇いて水分を欲しがります。検尿で見つかる人もいます
が、やせや多飲多尿の症状で見つかることが多いです。1型糖尿病と診断されたらインスリン
治療が必要になります。
最近は子どもでも大人に多い2型糖尿病が増えています。肥満や運動不足などが原因で、
治療は食事や運動療法が主体ですが、インスリンなど薬物治療が必要なこともあります。暑く
なって水分摂取が増えるときに、ジュースなどを多飲すると、糖尿病が急激に悪くなることも
ありますので要注意です。
学校の検尿は、心臓検診と比べて、異常を指摘された後の医療機関への受診率が低いよ
うです。油断しないで異常を指摘されたら早めに受診してほしいと思います。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
溝田美智代(今村病院小児科)