卒乳
子ども救急箱(157)
「うちの子、まだおっぱい飲んでいるんですけど、大丈夫ですか」とお母さんによく聞
かれます。そのときには「うちの3歳の息子もまだ飲んでるんですよ。大人で飲んで
る人はいないから、いつかはやめると思いますよ」と答えます。
インターネットで「卒乳」「断乳」を検索すると、多くのサイトで方法・体験が語られて
います。おっぱいをやめる時期については、最近は「自然卒乳」という考え方が定着し
てきています。「子どもが自ら母乳をやめる」ということです。
一方で、断乳という言葉があるように、おっぱいは「断たなければ自らやめない」と
いう考え方も根強くあります。それも間違いではないと思いますが、成長すれば、やが
ては自立していくということに焦点をあてるのが自然卒乳です。
次の子の妊娠など、やめざるを得ない状況が生じることはありますし、1歳を過ぎて
もおっぱいばかりで食事がすすまない時は、授乳回数を減らすなどの工夫が必要で
す。「保育園に行くから」「もう1歳だから」とあまり構えずに、事情が許す限り、子ども
のペースに合わせていけばいいのではないでしょうか。
昼夜、場所を問わず、おっぱいを要求されるのは、母親にとって大変です。自分も
「もういい加減にしてくれ」と思うこともありました。しかし、子どもにとって安心材料で
あるのは間違いなく、周りの「まだおっぱい飲んでるの」攻撃にもめげず、粘った子ど
もに敬意を表して、自然卒乳を待つ方法をとりました。
「虫歯になるのでは」という声を聞くことがありますが、母乳に含まれる糖分は虫歯
にはなりにくく、寝る前の歯磨きさえきちんとすればおっぱいを飲むから虫歯になりや
すいということはないとされています。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
平林雅子(鹿児島市医師会病院小児科)