RSウイルス感染症

 

こども救急箱(164

RSウイルスは乳幼児に呼吸器感染症を引き起こす大きな原因ウイルスです。ほとんどの子

どもが2歳までに一度は感染します。5〜6歳の年長児が再感染するときは鼻水、せきなど軽

い症状ですが、初めて感染した赤ちゃんは、細気管支炎や肺炎になることがあります。

 入院して人工呼吸管理が必要になるほど重症化することもあるため、1歳までは注意が必

要です。RSウイルス感染症は、例年、秋から冬にかけて流行しますが、最近は夏にも多くの

子どもたちがかかっています。

 RSウイルス感染症にかかると発熱、鼻水、せきなどの症状が数日間続きます。悪化すと、

せきがひどくなる、呼吸がゼイゼイして苦しくなる、などの症状が現れます。

せきで眠れない、せきこんで吐いてしまう、苦しがってほ乳ができない、不機嫌―などの症

状は、重症のサインです。

 予防ワクチンやウイルスに効果がある薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法です。多く

の子どもたちはかぜ症状ですむので、極度に心配する必要はありません。重症化しやすい子

どもには、モノクローナル抗体という免疫タンパクを流行期に毎月注射することで予防できま

す。

 早産で生まれたり、先天性心疾患、免疫不全症と診断された子ども、ダウン症の子どもに対

しては、2歳までは注射した方がよいとされています。

 感染経路は、せきやくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染、感染した子どもや、ウイルスが

付いたドアノブやコップなどに触れての接触感染があります。年長児や大人は重症化しませ

んが、赤ちゃんにうつすと大変です。症状があるときは、マスク着用やせっけんによる手洗い

を励行してください。

 

認定NPO法人こども医療ネットワーク会員

吉川英樹(済生会川内病院小児科)