情報中毒
子ども救急箱(165)
2010年12月のサービス開始以来、スマートフォン(スマホ)の普及の速さは目を見張るば
かりです。最近はスマホの操作に気を取られ、自転車と衝突したり、駅で線路に転落する事
故が報道されています。
英国で報道された子どものゲーム中毒は、衝撃的でした。タブレットを取り上げられた4歳の
女児が怒りから、けいれんと意識消失を起こし、小児精神科での長期にわたる入院治療が必
要になったというものです。
日本国内でもアルコール依存症の専門病院に、ゲームやスマホに依存する情報中毒の子
どもたちの入院が増えています。
子育て中のお母さん、むずがる赤ちゃんを子育てアプリの画面であやしてはいませんか?
それを続けると、赤ちゃんの脳の発達や言語形成、社会・協調性の獲得をゆがめる可能性
があります。
赤ちゃんと接するときは、目と目を合わせ、優しく語りかけることが必要です。そうすることで
赤ちゃんの安心感と親子の愛着、つまり“人間としての心”が芽生え、育まれていきます。
情報機器を排除せよ、ということではなく、接触時間のコントロールが大事です。ゲームやス
マホの依存症になると、親子の会話や体験を共にする時間を奪われてしまいます。親がスマ
ホに夢中になると、赤ちゃんの興味・関心を無視することになり、結果として愛情不足になりま
す。赤ちゃんの安全に気配りができません。
親子が同じものに向き合って過ごす「絵本の読み聞かせ」は、親子が共に育つ大切な時間
です。散歩や外遊びなどで親と一緒に過ごすことは子どもの体力、運動能力、そして五感や
共感力を育みます。
子守りは人がするべきものですね。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
村上直樹(村上こどもクリニック)