子どもの居眠り
こども救急箱(169)
授業中などにお子さんがついウトウトしてしまうことはありませんか。多くの場合、不規則な
生活などによる睡眠不足が原因と考えられますが、もしかしたら、病気のためかもしれませ
ん。
閉塞性(へいそくせい)睡眠時無呼吸症候群をご存じでしょうか。わが国でも2003年に起き
た山陽新幹線運転士の居眠り運転の原因として、マスコミなどで取り上げられ、広く知れ渡る
きっかけとなりました。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が数秒間停止したり、弱くなることを繰り返すことで、
良質な睡眠がとれなくなります。睡眠時間は十分なはずでも、しっかり眠れていないため、日
中に突然、ひどく眠くなったりします。
日中の眠気以外にも、健康にさまざまな影響を及ぼします。呼吸障害によって全身に酸素
が行き渡りにくくなると、体は酸素を欲するため、心臓に余計な負担がかかって、高血圧症や
不整脈の原因になるといわれています。
お子さんの場合は、ひどい酸素欠乏になることはないにしても、睡眠の質が悪くなり、落ち
着きがないなどの行動障害、学業成績の低下、身体発育障害などの問題が出てくることがあ
ります。ひどいいびきや夜尿症、胸部を囲むかご状の骨格の形が変わる胸郭変形の原因とも
いわれています。
この病気は、空気の通り道である気道の一部が何らかの原因でふさがって呼吸障害を起こ
します。お子さんの多くは、鼻とのどの間にあるリンパ組織アデノイドやへんとう腺の肥大が
原因で、手術が必要です。小さ過ぎるあごが原因のこともあり、かみ合わせの治療で対応で
きることもあります。
もし、お子さんの居眠りやいびきなどがひどい時は、耳鼻咽喉科や子ども専門の歯医者さ
んに一度相談してみるとよいでしょう。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
菅 北斗(鹿児島大学病院小児歯科)