赤ちゃんのうんち

こども救急箱(170

 

赤ちゃんの便は、母乳やミルクなどの摂取内容や月齢によって色や形が変化します。生後

すぐの赤ちゃんの便は濃緑色で、お母さんのおなかの中にいたときの便という意味で胎便

とよばれます。

 生後1カ月くらいまでは日に何度も排便し、母乳栄養では黄色の便に、人工栄養では緑色

の便になることが多いようです。同じお子さんでも腸内にとどまる時間によって色や形が変わ

り、緑色の「コロコロうんち」のときもあれば、黄色の「つぶつぶうんち」のときもあります。

 便の色や形にきまりはないのですが、お母さんに注意してほしい赤ちゃんの便がいくつかあ

ります。赤い血液が混じった下痢便や、酸っぱいにおいの白い便は、腸炎の可能性がありま

す。イチゴジャムのような粘血便は腸重積症が心配されます。もちろん、病気のときは便の異

常だけでなく、いつもと何かが違うと感じますので、便の状態だけで過敏になる必要はありま

せん。

 胃や腸の中で出血がある場合は、便は赤くなるだけでなく、黒い便になることもあります。ま

た、白っぽい便が続く場合は胆道閉鎖症という胆汁がうまく出ていない病気の可能性があり

ます。

 赤ちゃんは生後間もなく皮膚や白目が黄色くなる黄疸おうだんが出ますが、胆道閉鎖

症の場合は時間が経過しても黄疸がひかず、濃い色の尿が続きます。

 注意すべきは「白い便が出ていませんか」という質問に対し、お母さんは真っ白な便を思い

浮かべがちなことです。健診で聞かれる「白い便」とはクリーム色など「色が薄い便」のことで

す。

 便の色が変だなと感じたら、母子手帳についている便色カードを参考に、かかりつけのクリ

ニックを受診してください。便のついたおむつを持参するか、写真を撮っていくとよいでしょう。

 

認定NPO法人こども医療ネットワーク会員

山田 和歌(鹿児島大学病院小児診療センター小児外科)