アナフィラキシー@
こども救急箱(176)
2012年12月に東京都調布市の富士見台小学校で起きた食物アレルギー死亡例をきっ
かけに、食物アレルギーとアナフィラキシーへの注目度が高まっています。
今年3月に文部科学省は、学校給食で特別な配慮が必要な児童に対し、学校への診断書
提出を義務付ける方針を発表しました。鹿児島県の小中学校でも食物アレルギーの診断書
提出が始まりました。
診断書が必要な理由は、食物アレルギーが命にかかわることがあるからです。そして、命に
かかわる状態がアナフィラキシーです。
このアナフィラキシーには定義があります。じんましんやかゆみなどの皮膚症状、呼吸にヒ
ューヒューやゼイゼイといった雑音が生じる喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難などの呼吸器症状、
腹痛やおう吐などの消化器症状のうち2つ以上を伴うこととなっています。
具体的にいうと、じんましんがでて、呼吸が苦しくなった場合、皮膚がかゆくなり、おう吐した
場合はアナフィラキシーといえます。
この状態を放置すると、血圧が低下する、意識がなくなるなどの「アナフィラキシーショック」
とよばれる状態になってしまう危険性があります。
そのためアナフィラキシーを起こした場合は、速やかに治療し、危険な状態を回避する必要
があります。あんしん救急箱59で紹介しましたが、この治療は緊急を要するため、自宅や学
校でも使用できるように『エピペン』という注射薬を現場で使用する必要があります。
そのために前もって医師に処方してもらい常時携帯することが勧められています。次回はこ
の『エピペン』の使い方を含め、アナフィラキシーが疑われるときの対応について書きたいと思
います。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
立元千帆(あおぞら小児科)