アナフィラキシーB
こども救急箱(178)
食物アレルギーのお子さんに対し、学校への診断書提出の義務化が始まっています。診断
書には、@アレルギー食材(診断根拠含む)、Aアナフィラキシーを起こす可能性の有無、B
エピペン注射を含め、アレルギー症状が発現した際の対応―が記載されます。
診断書を提出する一番の目的は、食物アレルギーのお子さんの状況を把握することです。
「診断書」になったことで、診断が曖昧な食物アレルギーのお子さんも多いことが分かりました。
中には、お子さんがどうしても食べられないので食物アレルギーとして、診断書を書いてほし
いと受診される保護者もいます。
このような場合、診断書を書くことはできません。学校は、診断書に基づいて栄養士・調理
師が食事の対応を行います。誤って食材を提供した場合、結果的に何事もなくても責任問題
になります。根拠のない除去食対応を持ち込むことは現場を混乱させるだけです。
「食物アレルギーがあるから学校では食事を提供できません」と言われたお子さんもいます。
主要な食材の多種目にわたる食物アレルギーであれば仕方ないですが、一種類の食物アレ
ルギーであれば、可能な限り給食を提供してあげてほしいと思います。
食後にじんましんが出て、原因が判明するまで給食を中止する学校もあります。確かに、食
後のじんましんで食物アレルギーを疑うこともありますが、食物アレルギーではないと判断で
きる場合もあります。漠然とした不安による行き過ぎた予防策を懸念します。
食物アレルギーに対する注目が高まり、対策が進むことはいいのですが、学校の考え、保
護者の思いはさまざまです。子供のためにという前提を忘れずに対応が行われることを切に
願います。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
立元千帆(あおぞら小児科)