ムンプス難聴の原稿

 

こども救急箱(18

おたふくかぜ難聴をご存じですか?

A君は右耳の下が5cmぐらい腫れてきました。お母さんはおたふくかぜの友達がいたので、

同じかなと思い小児科を受診しました。普通の診察の後、先生が耳のそばで指をこするテストを

しましたが、左の方で何回やっても聞こえません。すぐに大きな病院の耳鼻科へ紹介され詳しい

検査を受けた結果、おたふくかぜによる高度感音性難聴と診断されました。いくつかの薬や治療

を試みましたが大きな効果はありませんでした。

おたふくかぜは耳下腺がはれる子どもではありふれた病気のひとつです。合併症としては無菌性

髄膜炎(3%)や成人男性の睾丸炎(25%)がよく知られています。おたふくかぜ難聴は多くの場合片側に、

時に両側に起こり高度の聴力障害を永続的に残します。成人ではめまいや耳鳴りもしばしばともない、

これらの障害も残るといわれています。以前は難聴の頻度は低いと考えられていましたが、最近の近畿

外来小児科学研究グループの研究により約1000人に1人の発症とかなり頻度が高いことがわかりました。

現代の医学でも難聴には治療や自然治癒がほとんど期待できません。

 おたふくかぜとその合併症や難聴にならないためには、ワクチンによる予防が唯一の手段です。直接

おたふくかぜにかかると100人に3人は髄膜炎に、1000人に1人は難聴になり、成人男子の100人に25人は

睾丸炎をおこします。おたふくかぜワクチンでも、まれですが数千人に1人無菌性髄膜炎が起こることが

ありますが、一般的に軽くて治るといわれています。ワクチンで睾丸炎や難聴はまずありません。

おたふくかぜとその合併症や難聴を予防するため、おたふくかぜワクチンの接種をお勧めします。

 

テキスト ボックス: 患者さんの発症時と回復時

   
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


NPO法人こども医療ネットワーク会員 南 武嗣(みなみクリニック)

南日本新聞 平成19年1月22日掲載