子どもの歯磨き
−歯ブラシの扱いに注意−
こども救急箱(183)
お子さんが歯磨きをするとき、きちんと注意していますか。
赤ちゃんは、乳歯が生え始める頃から、歯ブラシやスプーンなどを自分の口に入れるのが
好きになります。しかし、立って歩き回るようになる1歳前後から、行動が活発になる3歳頃の
間は、転倒による歯や口の外傷事故が増える時期です。
歯ブラシは鋭利な部分がないため、危険性を認識していない保護者が多いようですが、歯
ブラシをくわえたまま全身の体重が加われば簡単に喉などに刺さります。脳に達する危険も
あります。
お子さんが自分で歯を磨くことは、歯垢を取り除いて、虫歯や歯周病を予防するだけではあ
りません。歯ブラシを口に入れることで口の緊張や過敏を取り除く、食べたら磨くといった生活
習慣を身につける、手と指を使った細かな運動を学ぶなど、たくさんの目的や意味がありま
す。
歯磨きは、お子さんの成長発育に大切な役割を担っています。しかし、歯ブラシを口に入れ
たまま転倒すると、重大事故につながります。お子さんの歯磨きでは、次のことに注意しまし
ょう。
@ 就学前は歯磨きをするとき以外、歯ブラシを持たせない。特に、歯ブラシを口に入れた
まま絶対に歩き回らない。
A 自分で歯ブラシを持ち始める1歳頃から就学前までは、本人が磨くときは目を離さな
い。
B 就学前の子どもの歯ブラシは手の届かないところに置く。
C 本人が磨いた後に保護者が仕上げ磨きをする。
歯ブラシは、親子をつなぐ大事な暖かいコミュニケーションの道具です。しかし一方では、
「箸や歯ブラシなど棒状の器具は、乳幼児には気をつけるべきもの」という気持ちを忘れず、
正しく用いることが大切です。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
奥 猛志 (医療法人 おく小児矯正歯科)