学校に行けない
-安心できる環境整備を-
こども救急箱(184)
学校に行けない子どもたちが増えています。学校に行きたくないと言えなくて、「おなかが痛
い」、「頭が痛い」と訴えて病院に来る子もいます。大人であれば、「職場でつらいことがあって」
などと言葉で伝えることができますが、自分の気持ちを整理して言葉で表現する力がまだ育
っていない子どもたちは、体に出る症状で訴えます。
どうして行きたくないのか、行けないのか。理由を問いただしても、大人が納得できる答えは
返ってこないですね。子ども自身も分かっていないことがあります。
子どももストレスや悩みを抱えて生きています。大人にはささいなことに思えても、子どもに
は重大なことがあります。子どものことを思ってした声かけや行為で、逆に深く傷つき、追いつ
められていることも。学校の先生に協力をお願いして、子どもの状況や環境を点検すると、悩
みが見えてくるかもしれません。子どもが無理なく安心して過ごせる環境の整備を一緒に考え
る必要があります。
長期間学校に行けない状態が続いた場合は、自宅で夜ゆっくり寝て、三食しっかり食べて、
いっぱい好きなことをすることが大切です。家事の手伝いができるとさらによいでしょう。眠れ
ない、食べられない、好きなこともできないときは、病院で治療を受けた方がよい場合もありま
す。
どうしても学校に戻れない場合は、適応指導教室やフリースクールを利用する方法もありま
す。その子が住む地域で、その子の居場所づくりをする取り組みが必要かもしれません。
子どもが長い間学校に行けない状態が続くと、お父さん・お母さんもつらくなってきます。子
育てに悩む保護者を地域で支える取り組みも大切です。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
塗木雄一朗(県立北薩病院小児科)