孫育て
こども救急箱(186)
最近は孫育てという言葉を聞くようになりました。「孫は来てよし、帰ってよし」をタイトルに入
れた大日向雅美氏の孫育て本も出版されています。育児に祖父母が関わり、若い両親の就
労をサポートしてほしい意味もあるかと思います。イクメンやイクジイと呼び、母親だけに任せ
ずに男性も子育てに参画するのが、現代社会では重要なことかもしれません。
育児方法は時代とともに変化します。30年も経てば社会全体で考え方が変わります。たと
えば、母乳に対する考え方や離乳食の開始時期などは時代とともに変遷しています。何が正
解かと考えると混乱しますので、その時代の風潮とかブームと考えればいいと思います。
断乳や抱き癖という言葉は過去の遺産という感じになっています。現在は一歳すぎたら断
乳という考えはなく、そのうち卒乳できると考えます。抱き癖は医学的にはありませんし、時間
的余裕がある祖父母が抱っこしてあげればいいですよね。3歳までに周囲のおとなが十分な
愛情を注ぐことが、その後の人格形成に重要だと証明されています。それは母親に限らず、
父親でも祖父母でも他人でも構わないのです。
予防接種の考え方も大きく変わりました。一昔前には、麻疹(はしか)にかかった子がいると、
麻疹が死に至りうる病気であることを知らず、一緒に遊んで移してもらいたい、という親がい
ました。今は感染症を予防できるワクチンを受けることが常識になっていますし、国も自治体
も財政が厳しくても無料化に努力しています。
有料のワクチンは任意接種ワクチンと呼ばれますが、重要性は無料の定期接種ワクチンと
同じです。孫育ての一環として、ワクチン接種料を負担してあげて下さい。日本の将来のため
に。
認定NPO法人こども医療ネットワーク理事長
河野嘉文 (鹿児島大学病院小児診療センター)