子どもの急性アルコール中毒
−誤飲の原因つくらないで−
こども救急箱(189)
急性アルコール中毒というと子どもとは関係ないように感じますが、救急外来では意外にも
多いものです。急性アルコール中毒を起こす原因は誤飲・誤食。大人と同様に、摂取量と症
状の出方は個人差があります。しかし、子どもは大人と比べて、肝臓の分解能力や脳自体が
未熟なため、影響を受けやすく中毒症状が出やすいのです。
近年、清涼飲料水の様なお酒や、ノンアルコールのカクテルなどが発売されており、アルコ
ール飲料なのかどうか非常に紛らわしくなっています。子ども自身が間違って飲むこともあり
ますが、飲食店で間違って配膳された例もあります。清涼飲料水のようなお酒を家庭内に置く
ことや、ノンアルコールだからといって子どもにカクテル飲料を与えることは避けるべきです。
誤食の原因には、ウイスキーボンボンのようなお酒が入っているものや、スポンジにブラン
デーなどのお酒がしみこませているケーキなどを食べてしまう場合があります。缶ビール1本
分(350ミリリットル)のアルコール量(20グラム)は、ブランデーだと40ミリリットルと少量で
同じになります。誤食のアルコール量は、誤飲に比べて多くなりがちです。
アルコールは30分から2時間ほどで体の中の濃度がピークになります。少量を摂取した程
度なら水分を多めにとらせて様子を見て、異常興奮状態や不機嫌、ふらついて立てないなど
の症状が出るようなら医療機関へご相談ください。数時間様子をみて症状がなければ大丈夫
です。また、誤飲による悪影響が将来に残ることはありません。
子どもはアルコールに弱く命にかかわることもありますので、間違って口にしてしまう環境を
つくらないようにするのが必要です。それが周囲の大人の役割です。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
根路銘安仁(鹿児島大学病院小児科)