学校検尿について

 

こども救急箱(19

約三十年前に始まった学校検尿によって、慢性腎炎を早期に発見し、早期に治療できるようになりました。

腎臓が悪く、透析療法を続けなくてはならない状態を慢性腎不全といいますが、近年、日本の小児の慢性腎

不全の発症は、学校検尿のない米国の四分の一に抑制され、学校検尿の恩恵と考えられています。

もっとも、自然に治る可能性の高い軽い尿異常の場合は、定期的な検尿を行うだけの場合も少なくありません。

この場合も定期的な観察は重要で、経過中に尿異常の悪化があると、腎生検などで治療方針を再検討すること

もあります。

 一方、本来健康な人の尿が、誤った尿の採り方などのために異常になることを、偽陽性(にせの陽性)とい

います。尿蛋白(たんぱく)の偽陽性として体位性蛋白尿(起立性蛋白尿)や運動時蛋白尿があります。これらは、

寝ている間は蛋白尿が出ず、立っている時や運動時に蛋白尿が出るものです。この偽陽性を防ぐために「検尿

前夜は激しい運動を避け、就寝直前に排尿し、朝起床後は直ちに採尿する」ことが大切です。

 また尿潜血の偽陽性としては女生徒の尿検体への月経血の混入があります。「月経中とその後四日(最長七日)

は尿提出しない」とか、「二週後に提出する」など、学校と検査機関の取り決めや連携が重要です。また検尿

前夜の入浴時は排尿部を充分に洗うことが、尿への白血球の混入(白血球尿の偽陽性)を防ぐために必要です。

逆にビタミンCを含むジュース類は、尿潜血反応を出にくくする偽陰性(にせの陰性)の原因になります。

正しい採尿方法を検尿前に充分に確認して、偽陽性のために再検査や精密検査に呼び出されないように、

また偽陰性で見逃されないようにすることも大切ですね。

 

NPO法人こども医療ネットワーク 二宮 誠 (にのみや小児科・ひふ科)

南日本新聞 平成19年2月5日掲載