サプリメント
−「与えすぎ」に注意を−
こども救急箱(192)
親は子どもの食事や健康に非常に関心があり、改善したいと考えています。そのときに、サ
プリメントを考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。日本で就学前の10%の子どもが
サプリメントを利用していて、多くの製品が販売されているようです。ところで、本当にサプリメ
ントは子どもに有効でしょうか?
サプリメントの中のビタミンやミネラルなどは、それらが本当に不足している病気(○○欠乏
症)に対しては効果があります。そのため、自分の子どもが日常生活でどれくらい栄養素が摂
取できていて、どれだけ不足しているかを知り、不足分を補うのであれば有効です。しかし、
わが国の栄養調査の結果を見ると、今の子どもたちに早急に対策が必要な栄養素不足はあ
りません。したがって、大部分の子どもにサプリメントは必要ないと考えられます。
「自分の子どもは偏食なのでサプリメントで補充したい」と考えるかもしれません。しかし必
要以上に栄養素をとることの有効性や安全性は科学的に証明されていません。サプリメント
で特定のものを大量摂取するには、不足している証拠が必要ではないでしょうか。
インターネットなどで情報が多く提供されていますが、ほとんど成人の情報で、子どもを対象
にしたものはありません。また、サプリメントは錠剤など、病院でもらう薬のように見えますが、
その製造方法や品質などは認可された医薬品とは異なります。
一般の方々に提供される情報は玉石混交していますので、子どもにサプリメントを与える前
に、国立健康・栄養研究所のサイトで根拠を確認することや、かかりつけ医に相談することを
お勧めします。基本は「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」だと思います。
認定NPO法人こども医療ネットワーク会員
根路銘 安仁(鹿児大学病院小児科)