乳歯の虫歯

−永久歯、発育にも影響−

 

こども救急箱(194

 乳歯は生後6カ月ごろから生え始め、2歳半ごろにはすべてそろいます。小学校に入学する

頃から永久歯に生え替わり、卒業する頃には永久歯がほぼそろいます。「乳歯は抜けるから、

無理して虫歯を治療しなくてもよいのでは」という質問を受けますが、これは間違いです。乳

歯の虫歯を放っておくと、短期間で大きくなり、歯の痛み、発熱、顔の腫れが出ることがある

だけでなく、永久歯へ悪影響が生じることがあります。

@   口の中が虫歯のできやすい環境になる

 生まれたばかりの赤ちゃんの口内は無菌状態ですが、乳歯が生えそろう頃にはいろんな細

菌がすみ付き始めます。このころに虫歯ができると、虫歯になりやすい口の環境になってしま

います。

A   永久歯がきちんとできなくなる

 乳歯の根元には永久歯の芽があり、頭の方から成長していきます。乳歯の虫歯が悪化して

根元に膿(うみがたまると、永久歯の芽が傷つき、歯の形に異常が出たり、真っすぐ生えなく

なったりすることがあります。

B   久歯の歯並びが悪くなる

 虫歯で乳歯の形が崩れたり、本来の生え替わりよりも早い時期に抜いたりすると、周りの歯

がその隙間をふさぐように動いてしまいます。永久歯が生えるスペースが足りなくなり、歯並

びに影響することがあります。

C   長に関わる大切な役割を果たせなくなる

 乳歯に大きな虫歯があると、物をかむことができなくなり、あごや体の発育を遅らせてしまう

ことになります。虫歯で歯が崩れてしまうと、発音や言葉の発達にも影響することがあります。

 乳歯を虫歯から守り、健康な永久歯を導くため、規則正しい生活習慣、食習慣、歯磨き習慣

を心がけましょう。

 

 

認定NPO法人こども医療ネットワーク会員

稲田 絵美(鹿児島大学病院小児歯科)