小児の夜尿症(おねしょ)
こども救急箱(20)
乳幼児では、夜尿(おねしょ)があることは、あたりまえのことです。5〜6歳を過ぎても引き続き見られる
場合を夜尿症と言います。一般的に5歳児の15〜20%に夜尿が見られ、女の子よりも男の子の方が多いようです。
また、夜尿症のある子の家族には、夜尿症を経験した人が多く見られます。
乳児期から引き続く夜尿を一次性夜尿症と言い、幼児期から学童期に少なくとも数ヶ月以上にわたり夜尿が消失
していてその後再び出現したものを二次性夜尿症と言います。二次性夜尿症の場合は心理的な影響が多いですが、
まれに尿路感染症・尿崩症・糖尿病などによるものがあり、注意が必要です。
生活指導と治療では、「起こさず・あせらず・しからず」の3原則が大切です。叱ることはは本人にストレスを
与えてしまいます。夜間に起こして排尿させることも多いですが、これは睡眠リズムを乱してしまい夜間睡眠中の
抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が減少し逆効果です。水分の取り方としては、朝から午前中はたっぷりと、午後からは
多少控えめにして、夕方からは厳しく制限します。
個人差がありますが、排尿抑制訓練を行うと夜尿が改善していくことがあります。昼間に尿意を感じたら、1分
ずつ我慢するようにし、それができるようになれば2分、さらに3分と徐々に排尿を我慢させる時間を延ばして
いきます。これにより膀胱容量が増加し、夜尿症が改善していきます。夜尿の回数が少なくなってきたら、できる
だけ褒めてあげて下さい。自信をつけることが大切です。
薬物療法として抗うつ薬・抗コリン薬・抗利尿ホルモン点鼻薬などを使用する場合がありますので、小児科医に
相談しましょう。
NPO法人こども医療ネットワーク 児玉昭彦 (こだま小児科)
南日本新聞 2007年2月19日掲載