子ども料金
―社会全体からの支援―
こども救急箱(202)
日本の社会ではさまざまな経済行為に「子ども料金」があります。公共交通機関では小学生
までは大人運賃の半額になるし、航空機でも3歳以上12歳未満は成人の半額が基本ですよ
ね。鉄道は小学生が半額で、未就学児は無料です。これらは大人の運賃で子ども分の不足
を補う構造ですから、子育て世代への社会的支援の例です。
一方、東京ディズニーランドでは子ども割引は小さく、子どもだけが楽しむキッザニア東京で
は子ども料金が大人料金の約2・5倍だそうです。受益者負担と言う社会の原則が垣間見え
る気がしますし、企業の子ども料金設定目的が多様であることを示しているようです。
小児医療の現場では、インフルエンザの予防接種にある種の子ども料金が設定されていま
す。小児ワクチン接種と成人のワクチン接種に要する労力、時間などを考慮すると、本来子ど
も料金が高いはずなのですが、多くの医療機関で成人と同じか少し安く設定されています。
12歳未満は2回しなければならないこともあり、できるだけ多くの子どもたちに接種してほしい
という願いと考えたいですね。
医院・病院での診察や注射の乳幼児料金は少しだけ高く設定されていますが、ほとんどの
市町村には支援制度があり、患者負担は限られます。これも子育て世代を支援する目的で、
税金で補填されています。小さく生まれた赤ちゃんに使うRSウイルス感染予防注射薬は、1
回分が10万円前後ですが、保護者の負担なく6回受けられます。
日常生活の中であまり意識しないことですが、子育て中の親や子どもは社会全体から支援
されています。まだまだ完全な支援制度ではないと思いますが、健康でそれぞれの持ち味を
生かして社会に貢献できる人になれるよう応援しましょう。
認定NPO法人こども医療ネットワーク
理事長 河野 嘉文
(鹿児島大学病院小児医療センター)