熱中症

−車内へのこどもの閉じ込めに注意−

 

こども救急箱(203

 熱中症に気をつけないといけないシーズンです。鹿児島市立病院救命救急センターにも熱

中症のこどもが救急車で運ばれてきます。乳幼児が車の中に閉じ込められて「救出されて」

搬送されてきたケースが続きました。

 以前は、乳幼児が車の中で熱中症になる場合、親が車の中にこどもを置いて用事にでかけ、

戻ってきたときに熱中症に気づかれて運ばれるケースが多かったと思います。よく知られてい

たのは、パチンコなど遊技場の駐車場での事件ですよね。しかし今回続いたケースは違って

いました。

 最近の乗用車は、鍵穴にキーを差し込んでいなくてもリモコンキーでエンジン始動やドアロ

ックの操作を行えるようになっています。こどもはカギが大好きで、持たせて遊ばせると泣き

止んだり、おとなしくなったります。こどもにリモコンキーをもたせて運転していることもあるよう

です。

 駐車後に扉をしめて、こどもを降ろそうと子どものいる側へ回っている間に、こどもがキーボ

タンを押してしまい、閉じ込められていました。一瞬のことです。そうなってしまうと窓を割った

り、JAFに連絡をとったりしないと救出できません。調べてみますと全国あちこちで同じような

ことが起こっているようです。

 今年の梅雨時は雨や曇りの日ばかりだったですが、閉じ込められた後2030分ほどで救

出されたケースでも、救出時に体温上昇をきたしていました。7〜9月は日差しも強く、駐車位

置によってはすぐに車内温度が上がるので、短時間で重度の熱中症になる可能性が高くなり

ます。

 旅行中などですぐに救出できないような場所に行く機会もあると思います。荷物の積み下ろ

しの時は特に注意が必要です。車の中では、リモコンキーを操作できない年齢のこどもにキ

ーを渡さないように気を付けましょう。

 

認定NPO法人こども医療ネットワーク会員

楠生 亮(鹿児島市立病院小児科)