川崎病と学校生活

  

こども救急箱(207

川崎病は高熱が続き、眼や口唇が赤くなり、発疹、手足のむくみ、首のリンパ節が腫れる1

〜3歳の子どもに多い病気です。患者数は年々増加しており、日本では毎年1万人以上が

発症しています。鹿児島市では60人に1人の小学生が、川崎病を経験した、あるいは川崎

病が疑われたことがあります。

川崎病は心臓を栄養する冠動脈に後遺症を残す合併症が知られていますが、発症しても

後遺症が残るのは2-3%であり、ほとんどは後遺症なく治り、運動制限はありません。軽度の

冠動脈瘤の場合でも、基本的に制限はありません。大きな瘤がある場合には激しい運動に

は制限しますが、通常の運動は可能である場合がほとんどです。

大きな冠動脈瘤が残った場合には血栓予防のためにワーファリンを飲みます。ワーファリ

ンの作用として、出血が止まりにくいこと、ちょっとした打撲で皮下出血が目立つことがあるの

で、ワーファリンが必要な場合は、激しく身体がぶつかる運動は控える必要があります。また、

脱水になると血栓ができやすいため、暑い時や長時間の運動には注意が必要です。

このように川崎病を経験しても、大部分の子どもは普通に運動できます。小学生にとって適

度な運動は必要で、過度な制限はよくありません。学校では個別の管理が必要なので、生活

管理指導表が重要となります。生活管理指導表は学校と医療の現場で情報を共有し、適切

な運動管理を行うためにとても大切です。節目ごとに主治医に記載してもらい、学校へ提出し

てください。

1010日(土)の午後330分から、鹿児島県医師会館で市民公開講座「川崎病とつき

あう」が行われます。日本川崎病学会に専門家が集まり、川崎病のことや学校生活、将来の

生活習慣病について多くの情報提供があります。質問できる機会もありますので、ぜひご参

加ください。

 

こども医療ネットワーク会員

野村 裕一

(鹿児島市立病院小児科)