インフルエンザワクチン
―ウイルスの種類を追加―
こども救急箱(207)
今秋のインフルエンザワクチンは、これまでの3価から4価に変わります。価という表現はわ
かりにくいですが、異なるタイプのインフルエンザウイルスがいくつ入っているかを示します。
昨年までのインフルエンザワクチンには、A新型、A香港型、B型山形系統の三つが含まれ
ていました。しかし、実際にはワクチンに含まれないB型ビクトリア系統による流行もみられる
ため、今年からB型ビクトリア系統が追加され4価になります。したがって、B型のインフルエ
ンザに対する予防効果が、昨年より高まることが予想されます。
B型は大人よりも子どもが多く感染し、2〜4月に流行するのが特徴です。これまで、B型に
対するワクチンの効果はA型に比べて低かったため、特に子どもたちへの効果が期待されま
す。日本での臨床試験で安全性は確認されていますので、安心して接種してください。
4価にすることでワクチンの製造に費用がかかり、製剤の価格が1・5倍ぐらい値上がりする
ようです。接種費用は、製剤価格に問診料・注射実施料などを加えて、医療機関ごとに決め
られます。子どもに安全に接種するには、十分な接種体制が必要です。ワクチンの価格だけ
で決めるのではなく、日ごろから通院している医療機関での接種をお薦めします。
現在のインフルエンザワクチンの効果は残念ながら完全ではありません、しかし、綿密に計
画された臨床試験では、その有効性が証明されています。接種しない群に比べて、A型の発
症を幼児で70〜80%、学童で60〜90%減らすと報告されています。成人ではさらに効果
がみられます。子どもたちを守るために、ぜひ周囲の大人の方も接種をお願いします。
こども医療ネットワーク会員 西 順一郎
(鹿児島大学医歯学総合研究科微生物学分野)