インフルエンザ
−石けんによる手洗いで予防を−
こども救急箱(21)
この冬の流行は比較的穏やかですが、それでも各地で学級閉鎖がみられます。
インフルエンザは、突然の高熱、頭痛、のどの痛みで始まり、その後咳や鼻汁がみられ、
けんたい感が強いのが特徴です。4日前後で自然に治りますが、発熱やひどい咳が
その後も続く場合は気管支炎や肺炎に注意が必要です。乳幼児では、けいれんや
意識障害が続く脳症がまれに起こります。
患者の咳やくしゃみでウイルスが周囲に飛び散り、それを吸い込んで感染し、
2〜3日後に発症します。換気のない部屋や空気が乾燥した所では、ウイルスが
空気中を漂い、感染が起こりやすくなります。
綿棒で鼻の奥の鼻汁をとり、約15分で判定できるキットがあります。検出感度は
良く診断に便利ですが、必ず受けなければならないものではありません。
発症から48時間以内に抗ウイルス薬を服用すると、発熱期間が1〜2日短くなります。
副作用として嘔気などの胃腸症状の他に、死亡事故につながる異常行動が報道されていますが、
厚労省のこれまでの調査では因果関係は明らかではありません。インフルエンザは自然に
治るため、抗ウイルス薬を用いずに、安静や解熱剤で経過をみることも可能です。
予防は流行前のワクチンが重要です。帰宅時には、うがいや手洗いを心がけましょう。
ウイルスの付いた手で、自分の口や鼻を無意識に触ることで感染しますので、石けんを
用いた手洗いが特に大切です。解熱してもしばらくはウイルスを排泄するので、
学校や幼稚園は解熱後2日たつまでは休んでください。
夜間に突然発熱することもありますが、けいれんがなく意識が正常で、飲水が可能で
あれば、急いで病院に行く必要はありません。水分をとり、翌朝お近くの小児科を受診してください。
NPO法人こども医療ネットワーク会員 西 順一郎 (鹿児島大学病院)
南日本新聞 3月5日(月)掲載