胸が痛い

 

こども救急(22)

「胸が痛い」と聞くとつい「心臓が何か悪いのでは?」と心配に思われる人は多いと思います。

こどもには心筋梗塞(こうそく)などの心臓の病気がないことは分かってはいても、実際に子ども

が「胸が痛い」と訴えると「ひょっとしたら心臓病があるのかもしれない」と、保護者としては

とても心配になります。

「胸が痛い」と訴えるのは小学生や中学生でみられ、「ちくちく」「ずきずき」痛いと言います。

時には「刺すように」痛いと涙を流す場合もあります。「どこが痛い?」と聞くと、「ここが痛い」と

指で指し示すことができるのが特徴です。運動時より、授業中や自宅でテレビを見ているときのように、

割とじっとしているときに痛がることが多いようです。数秒から数分で痛みはおさまり、その後はけろっ

としています。そのような場合は心電図やレントゲンの検査をしても異常が見つかることはなく、まず心配は不要です。

 しかし、ごくまれにですが、問題となる「胸痛」もあります。基本的に心臓からの痛みは持続時間が長く、

しめつけるような、あるいは焼けるような痛みです。痛みの場所を一点で示すことはできず広い範囲を

痛がります。同時に首や背中、肩の痛みを伴う場合もあります。痛みの持続時間は短くても、運動中や

直後、興奮したときに痛がる場合も心配な徴候の一つです。

 子どもの胸の痛みには、心臓病や川崎病の後遺症と関係する場合があるのは当然ですが、ぜんそくや

胃腸の病気が関係する場合もあります。痛いということは心臓やほかの病気の有無にかかわらず、

何らかの身体からの危険信号ではありますので、頻回(ひんかい)にみられる場合や痛みの程度が

ひどいときには、まずかかりつけの先生に相談されてみてください。

 

NPO法人こども医療ネットワーク理事

野村裕一(鹿児島大学病院)

平成19年3月19日 南日本新聞掲載