エアバッグで子ども死亡
―チャイルドシート後部に―
こども救急箱(223)
先日、自動車の助手席に座っていた3歳児がエアバッグで圧迫されて死亡したことがニ
ュースになりました。同時に、運転していた母親が自動車運転処罰法違反(過失致死)の
疑いで、書類送検されたことも報じられました。
以前は小学生が乗った自転車が歩行者に衝突し、親が1億円近い賠償金を支払うことに
なった事故がありました。それと同じくらい衝撃的な、子どもの交通事故に関連する報道
です。
エアバッグは前部座席に座る搭乗者を救うはずの安全装置ですが、条件を整えないと凶
器になることは以前から知られています。米疾病対策センター(CDC)は、エアバッグ
は助手席に座った子どもを殺す可能性がある装置なので、子どもを助手席に乗せてはなら
ないと警告しています。
子どもを交通事故から守る有効な手段としては、幼児用補助装置のチャイルドシートが
あります。道路交通法は、6歳未満の乳幼児にはチャイルドシートを装着しなければなら
ないと定めています。国土交通省や日本自動車連盟(JAF)は、ホームページでその種
類や正しい装着の方法を広報しています。
チャイルドシートについては、あんしん救急箱でも正しい使用を何度か呼び掛けてきま
した。しかし、警察庁によると乳幼児の使用率は60%程度で、適切な取り付けをしてい
るのは50%以下です。わが国の大人の子どもを守る姿勢に疑問を持たざるを得ない数字
です。
チャイルドシートは、正しく装着しないと本来の機能が発揮できません。年齢に応じた
種類のものを選び、エアバッグがない後部座席に適切に設置しましょう。距離やスピード
に関わらずきちんと装着させることが、子育て中の保護者やドライバーの責任です。
こども医療ネットワーク理事長
河野 嘉文(鹿児島大学病院小児医療センター)