こどもの鼻血
こども救急箱(23)
鼻は血管が豊富で、出血しやすい場所です。鼻血は自然に起こることもありますが、
鼻をほじることや風邪が誘因となることが多いです。顔をけがしたとき、鼻に何か物を
入れてしまったとき、副鼻腔(びくう)炎があるときにも鼻血が起こりえます。朝起き
たら鼻血でふとんが汚れている場合は、夜の間に無意識のうちに鼻をほじった可能性が
高いでしょう。
鼻血が出やすいのは二—十歳で、子どもの鼻血のほとんどは鼻の前の部分からの出血です。
ここはキーゼルバッハ部位といわれ、この部分の粘膜はやわらかく、鼻中隔(ちゅうかく)
の軟骨に密着しているために傷つきやすいのです。この部位からの鼻血は毛細血管または
静脈からの出血なので、小量の出血がゆっくり出る傾向があります。
鼻血が出たらどうしたらよいでしょうか。まずは、慌てないことです。天井を向いて首の
後ろをたたいても止まりません。鼻血が出たときには、飲み込まないような体勢をとる必要
があります。具体的には、座って首を前へ傾けるか、頭を体より少し高くした状態で横向き
に寝ます。鼻血を飲み込んでしまうと吐き気がするし、飲み込んだ血を吐くと、子どもはさ
らにびっくりして、止まりにくくなってしまいます。鼻血を飲み込まない姿勢になったら、
小鼻を十五分程度押さえましょう。ぬれたガーゼを詰めてもよいですが、止まっているか確か
めようとして何度ものぞかないほうがよいでしょう。ガーゼを取るときに再び出血することも
あります。このような方法で止まらなければ、医療機関を受診しましょう。もし、歯茎からの
出血や、手足や体の皮膚に出血がある場合は、必ず医療機関を受診しましょう。まれですが、
全身の病気が鼻血の原因となることもあります。
NPO法人こども医療ネットワーク 岡本康裕 (鹿児島大学病院小児科)
平成19年4月9日 南日本新聞掲載