百日咳
—生後3カ月で予防接種を—
こども救急箱(230)
麻しん(はしか)の流行が話題になっていますが、百日咳の入院も時々見られます。鹿児
島市立病院では1年間で、3カ月未満の乳児では3人が人工呼吸管理を含めた集中治療が
必要になりました。
百日咳は、かぜ症状から始まり、次第に咳がひどくなります。短い咳が続き、顔を真っ赤に
した後に、「ふー」と言って息を吸う発作を繰り返すようになります。乳児期早期ではこのよう
な発作はなく、突然呼吸を止め、顔色が非常に悪くなる発作を繰り返すこともあります。
この発作は百日咳菌が産生する毒素によるものと考えられています。この毒素はなかなか
体から無くならないので、2カ月くらい咳が続きます。当院で人工呼吸管理した子どもたちは、
人工呼吸期間だけでも2〜3週間かかりました。
2008年の全世界での百日咳による死亡は、予防接種がされていない発展途上国を中心
に19万5千人と推定されています。1歳未満の死亡率は0・5%未満、生後2カ月未満は1%
という米国の報告もあります。
日本では、生後3カ月からの4種混合ワクチンで予防します。予防接種を受ける前の赤ちゃ
んを守るには、周囲の人たちが百日咳にかからないようにすることが大切です。大人の百日
咳の症状は軽いので軽視されがちですが、赤ちゃんにうつると大変です。咳が続く時はマスク
着用、手洗いなどの感染対策をする必要があります。赤ちゃんを守るためには、兄や姉が4
種混合ワクチンを必要回数受けていることも重要です。
最近、4種混合ワクチンを1回でも受けていると、死亡の危険性が70%減るという報告もあ
りました。生後3カ月になったらすぐ接種するようにしましょう。
こども医療ネットワーク会員
楠生 亮(鹿児島市立病院小児科)