粉製品中のダニでアレルギー
―開封後は冷蔵庫で保存を―
こども救急箱(232)
プロ野球のセ・リーグでは、広島カープが25年ぶりに優勝しました。鹿児島県出身の選手
が何人も活躍しましたが、広島県の代表的な食べ物と言えばお好み焼きです。
近頃は家庭用ホットプレートやお好み焼き粉など便利なものが普及して、家庭で手軽にお
いしいお好み焼きが食べられるようになりました。子供たちにも人気の定番メニューですが、
誤った方法でお好み焼き粉を保管すると、粉の中でダニが増えてアレルギーの原因になるこ
とがあります。
ダニは気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎の原因として知られていますが、食物アレルギ
ーの原因と考える場合は少ないと思います。しかし、ダニに対するアレルギー体質がある人
が、ダニが繁殖した粉製品を加熱調理した食品を食べると、1時間以内にじんましんが出たり、
アナフィラキシーと呼ばれる強いアレルギー症状を起こしたりすることが報告されています。
お好み焼き以外では、たこ焼きやパンケーキなどでも報告例があります。外国では「パンケ
ーキシンドローム」と呼ばれ、1993年に初めて報告されました。
対策としては、一度開封した粉製品は常温で保管しないことです。開封後は、密閉できる容
器やジッパー付きポリエチレン袋に入れて冷蔵庫で保管することを勧めます。
ダニは約4億年前から地球で生きていて、人間の大先輩です。北極南極から赤道直下まで
あらゆる所に暮らしています。身近でいない所は、桜島の火口くらいでしょう。
人の生活圏からダニを完全に排除することは不可能ですので、ダニが異常に繁殖する環境
を作らない方が現実的です。人にとってもダニにとっても悲しい出来事が起こらないように気
を付けたいものですね。
県民健康プラザ鹿屋医療センター小児科
山遠 剛