膀胱尿管逆流症と排尿・排便習慣

 

こども救急箱(234

 小児の発熱の原因の一つに尿路感染症がありますが、その尿路感染症を引き起こす原因

として最も重要な疾患が膀胱尿管逆流症です。膀胱尿管逆流症とは、腎臓でつくられた尿の

通路である尿管と膀胱の接続部分が生まれつき未熟なため、排尿するときに膀胱に溜まって

いる尿が尿管や腎臓へ逆流する現象です。膀胱から尿管、腎臓へ尿が逆流することで、膀胱

内の細菌が腎臓まで到達し発熱が起こり易くなり、腎臓の機能にも影響をおよぼします。

 実は20年程前から、膀胱尿管逆流症のお子さんで排尿や排便習慣に問題があると、尿路

感染症による発熱を起こし易いことや、膀胱尿管逆流症が自然治癒しにくいことがわかってき

ました。

 排尿習慣の問題とは、排尿を我慢する習慣がついて、間隔が長くなり回数が極端に減るこ

とです。これに対しては、尿意がなくても2〜3時間毎に時間を決めて排尿させる時間排尿を

指導することが重要です。

 排便習慣の問題とは、便秘を繰り返しているような状態です。毎日あるいは1日おきにバナ

ナ状の便が出るのが理想的ですが、3日以上排便がないことを繰り返し、便が硬くなる状態

です。便が硬くても自分で出せていれば問題ないとされることが多いのですが、膀胱尿管逆

流症があるお子さんの場合は別です。排便習慣の異常に対しては生活習慣の見直しを行い、

必要に応じて内服や浣腸で排便を促す必要があります。

 これらの排尿・排便習慣のコントロールは膀胱尿逆流症だけでなく、昼間の尿失禁や夜尿

症のお子さんでも有効です。

 尿路のトラブルと排尿・排便習慣とは密接な関係があります。排尿の回数が極端に少なくな

いか、あるいは、排便が滞っていないか、ご家庭でもお子さんの適切な排尿・排便習慣につ

いて意識を持っていただくことが大切です。

 

 

こども医療ネットワーク会員 

井手迫 俊彦

(鹿児島大学病院腎臓・泌尿器センター泌尿器科)