赤ちゃんの洗顔

―せっけんを泡立てて使用―

 

こども救急箱(237

 赤ちゃんの1カ月健診で、保護者からよく相談されるのが、皮膚の湿疹です。その多くは新

生児座瘡ざそうと乳児脂漏(しろう)性皮膚炎で、通常「乳児湿疹」と呼ばれるものです。

 新生児座瘡は生後2週頃から2カ月時に赤ちゃんの主に顔面に生じる、思春期によく見られ

るにきびのような発疹です。男の子に多いと言われています。乳児脂漏性皮膚炎は生後1カ

月頃から顔や頭皮など皮脂腺が多い場所に見られる湿疹で、特に頭皮や眉毛に黄白色の厚

いかさぶたが付着するのが特徴です。

 両者ともにお母さん由来のホルモン(一部赤ちゃん由来のホルモン)の影響で、生理的に皮

脂の生産・分泌が進むことにより起こります。そして、生後2カ月から3カ月で皮脂の分泌が低

下することで自然に消えます。

 これらの対処法の一つに、せっけんによる洗顔をして過剰な皮脂を取り除くことが挙げられ

ます。その際に大事なことは、固形せっけんまたはベビー用無添加の液体洗浄剤を手のひら

で泡立てて、こすりすぎないようになでて洗うことです。

 乳児脂漏性皮膚炎で頭皮や眉毛に固まって付いたかさぶたは、洗うだけでは取れないこと

もあります。あらかじめかさぶたをオリーブ油で浸し、ふやかしてから洗うことが必要かもしれ

ません。

 時には軟こうが必要な場合もありますので、かかりつけの小児科医や皮膚科医に相談され

るとよいと思います。

 1カ月健診で新生児座瘡・乳児脂漏性皮膚炎のある多くの赤ちゃんは、せっけんでの洗顔

をされていないように思います。赤ちゃんの顔をせっけんで洗うことをためらうお父さん、お母

さんもいますが、これらの湿疹の出現や悪化を防ぐために、普段の沐浴もくよく時の洗顔で

せっけんを使うことをお勧めします。

 

こども医療ネットワーク会員

児玉祐一(鹿児島大学病院小児診療センター)